炎症性腸疾患(IBD)

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炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease:IBD アイビーディー)

腸官(小腸や大腸など)の粘膜で引き起こされる炎症や潰瘍を総称した呼び名になります。大きく分けて潰瘍性大腸炎(Ulcerative colitis: UC ユーシー)、およびクローン病(Crohn‘s disease: CD シーディー)の2種類があります。

1)特異的炎症性腸疾患とは?

腸内の炎症や潰瘍の原因が、細菌やウイルスの感染による感染性腸炎、薬剤の影響、虚血性大腸炎や腸結核など、はっきり判明しているもの。

2)非特異的炎症性腸疾患とは?

原因が特定できない腸内の炎症や潰瘍。
潰瘍性大腸炎(UC)、クローン病(CD)などがこれに当たります。一般的に炎症性腸疾患と呼ぶ場合、非特異的炎症性腸疾患を指すことが大半です。
最近、日本では両疾患とも増加しており、潰瘍性大腸炎は約23万人、クローン病は約7万人と推定されています。その中で難病と認定されて治療されている患者さんは、潰瘍性大腸炎は約18万人、クローン病は約4万人にのぼります。

炎症性腸疾患

病理学的、手術でも診断がはっきりしない場合は分類不能大腸炎とよばれています。

潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎とは?

潰瘍性大腸炎とは、大腸の粘膜に慢性的な炎症が生じ、びらんや潰瘍といった病変が形成される原因が不明の腸の病気です。
指定難病の1つで、発症頻度は10万人に100人程度とされていますが、年々増加傾向にあります。また、発症年齢は若い人から高齢者まで幅広く、男女比は1:1と性別に差はありません。

潰瘍性大腸炎

(難治性炎症性腸管障害に関する調査研究(鈴木班) 一目でわかるIBD 第二版)

潰瘍性大腸炎の特徴は?

おもに大腸に炎症が起きる腸の難病です。
炎症は直腸から連続的に広がります。
大腸の粘膜から粘膜下層(粘膜の表面)で炎症が起こります。

病気の原因はなんですか?

潰瘍性大腸炎の原因は、現在のところはっきりとは解明されていません。
潰瘍性大腸炎は1つの原因によって引き起こされるのではなく、遺伝、食生活、免疫異常、環境要因、感染などさまざまな要因が重なり合って発症すると考えられています。

どんな症状が現れますか?

重症度や病変部位により、症状は様々です。おもな症状は血便、下痢、腹痛です。これらの症状が強くなり重症になると、発熱、体重減少、貧血などの全身の症状があらわれてきます。
排便後も残便感や腹痛(しぶり腹)が続くようになります。

臨床経過はどうですか?

患者さんの多くは、活動期(炎症が再び起こって腹部症状などが強くあらわれる状態)と寛解期(炎症が静まり、症状が落ち着いている状態)を繰り返します。

臨床経過

適切な治療を続けて、長期間にわたって寛解期を維持することが重要となります。

臨床経過2

特に潰瘍性大腸炎では薬物療法が重要です。きちんと毎日規則正しく服薬を続けることが再燃予防に大切です。

どのような合併症がありますか?

腸管合併症と腸管外合併症が2つに分類される合併症が出現することがあります。

1)腸管合併症

  1. 腸管からの大量出血、大腸穿孔(大腸に穴があく)、大腸狭窄(腸管が狭くなる)
  2. 大腸がん
  3. 中毒性巨大結腸症
    (大腸の強い炎症により、腸の動きが止まってガスなどが溜まり、腸管が風船のように膨らんで、中毒様症状があらわれる)

2)腸管外合併症

おもに関節、皮膚、眼の合併症が見られますが、そのほかに下図のように多くの合併症が報告されています。

腸管外合併症

※潰瘍性大腸炎1433例に対して、腸管外合併症は300例(20.9%)に認められた。
(難治性炎症性腸管障害に関する調査研究(鈴木班) 一目でわかるIBD 第二版より)

潰瘍性大腸炎のがん化は?

発症から長期経過している(一般には発症してから10年以上)潰瘍性大腸炎の患者さんは、一般の方と比べて大腸がんの発症リスクが高いといわれています。悪性度の高いがんが多いのも特徴です。

潰瘍性大腸炎のがん化

このため、潰瘍性大腸炎の患者さんには大腸がん、前がん病変であるジスプレジア(日本語では異形成とよばれます)の早期発見を目的とした定期的な大腸内視鏡検査が行われるのが一般的です。これはサーベイランスとよばれ、特に10年以上経過されている患者さんは毎年の内視鏡検査をお勧めします。

潰瘍性大腸炎のがん化2

どのような検査を行いますか?

もっとも有用な検査は大腸内視鏡検査です。潰瘍性大腸炎の確定診断ができたり、病変の範囲や重症度が分かります。下図は内視鏡所見を、臨床でよく使用されているMatts(マッツ)分類を、寛解の状態から重症の状態までを段階おきに示しています。さらにメイヨーの内視鏡スコアも示しました。

大腸内視鏡検査2

潰瘍性大腸炎のマッツ分類の解説

Grade 1:正常
血管透見像正常、易出血性なし
Grade 2:軽度
血管透見像なし、易出血性なし、またはごく軽度、自然出血なし、粘膜発赤軽度 微細顆粒状、膿様粘液なし
Grade 3:中等度
血管透見像なし、易出血性あり、自然出血あり、粘膜浮腫状、発赤しやや粗 膿様粘液の付着あり
Grade 4:高度
潰瘍、易出血性、自然出血著明、膿様粘液の付着あり、腸管の拡張不良
大腸内視鏡検査

潰瘍性大腸炎のメイヨー内視鏡スコアの解説

  • 0:活動性病変を認めない
  • 1:軽度の炎症性変化(紅斑、血管透見像の減少、軽度脆弱性)
  • 2:中等度の炎症性変化(著しい紅斑、血管透見像の消失、脆弱性、びらん)
  • 3:高度の炎症性変化(著明な自然出血と潰瘍)

血液検査で炎症の程度、栄養状態、貧血の有無、肝機能・腎臓機能・膵ぞう機能に異常がないかなどを評価します。
最近疾患の活動性を評価する指標として、血清CRPのほかに便中カルプロテクチン、血清LRG(ロイシンリッチαグリコプロテイン)などのバイオマーカーを測定します。保険点数がついていますが、3か月1度内視鏡検査を行わない月に測定するように決められています。そのほかに細菌学的検査で感染症のチェックを行います。患者さんの病態を把握することが、適切な治療を選ぶことにとても重要です。

病変の範囲による病型分類は?

病変の範囲により、直腸炎型、左側大腸炎型、全大腸炎型の3つに分類されます。
一般的に病変範囲が広いほど症状が強く出やすくなります。

病変の範囲による病型分類

重症度の分類?

臨床症状をもとに、以下のように分類されます。
重症の中でも特に症状が激しく重篤なものを劇症(潰瘍性大腸炎の最重症型)といいます。
欧米では疾患活動性評価指標として、メイヨースコアがよく用いられています。

 

重症

中等症

軽症

1)排便回数

6回以上

重症と軽症の中間

4回以下

2)顕血便

(+++)

(+)~(-)

3)発熱

37.5度以上

(-)

4)頻脈

90/分以上

(-)

5)貧血

Hb 10g/dL以下

(-)

6)赤沈またはCRP

30mm/h以上

3mg/dl以上

正常

正常

潰瘍性大腸炎・クローン病 診断基準・治療指針(厚生労働省「難治性炎症性腸管傷害に関する調査研究」鈴木班

潰瘍性大腸炎の治療法は?

潰瘍性大腸炎の治療には、寛解導入療法と寛解維持療法の2つがあります。
寛解導入療法は活動期に臨床症状の改善や炎症を静めるための治療法です。
おもに活動期に対しては、薬物療法、患者さんの状態によって血球成分除去療法を行います。
寛解導入はうまく行くと、落ち着いた状態をできるだけ長く持続させるために寛解維持療法が行います。薬物療法が中心となります。これまでは臨床的寛解が目標でしたが、最近では内視鏡的に活動期の炎症が軽快している状態、すなわち内視鏡的寛解(粘膜治癒)が治療目標となってきています。
劇症の場合や内科的治療でコントロールできない場合は外科的手術(大腸全摘術)を行う場合もあります。また、大腸がんを合併した場合も原則として手術適応です。最近では早期大腸がんの場合は、内視鏡的に切除されることもあります。

望まれる治療目標

  • 長期間の臨床的寛解の維持と安全性
  • 内視鏡的寛解(粘膜治癒)
  • 副腎皮質ステロイドからの離脱
  • 手術の回避
  • 総入院期間の短縮、社会復帰
  • 妊娠・出産
  • 医療経済的負担の軽減

潰瘍性大腸炎の薬物療法

日本における潰瘍性大腸炎の内科的治療の変遷を図に示します。薬物療法がおもなものですが、治療法を確実に進歩しています。

薬物療法

潰瘍性大腸炎の治療に使われる薬剤を紹介します。

①5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤

活動期の症状改善と寛解を維持するために使われます。
剤形:経口剤、注腸剤(ペンタサ注腸)、坐剤(ペンタサ坐剤)
(ペンタサ、サラゾピリン、アサコール、それらの後発品、リアルダなど)

当クリニックでこれらの薬剤の処方を行っています。

②副腎皮質ホルモン剤(ステロイド)

活動期の症状を改善するために使われます。
剤形:経口剤、注射剤、注腸剤、坐剤、注腸フォーム剤(レクタブル)
(プレドニン、プレドネマ注腸、ステロネマ注腸、リンデロン坐剤)

当クリニックでは、プレドニンの経口剤と注射剤、プレドネマ注腸、ステロネマ注腸、リンデロン坐剤、レクタブルフォーム剤の処方を行っています。

③免疫調節薬、免疫抑制剤

活動期の症状改善と寛解を維持するために使われます。
剤形:経口剤、注射剤(シクロスポリン:保険適用外)
(イムラン、アザニン、ロイケリン:保険適用外、タクロリムス:)

当クリニックでは、イムランの処方を行っています。

③生物学的製剤

活動期の症状改善と寛解を維持するために使われます。
剤形:注射剤(点滴投与または自己注射)
(レミケード、ヒュミラ、シンポニー、ステラーラ、エンタイビオ、インフリキシマブBS)

当クリニックでは、レミケード・インフリキシマブBSの点滴、ヒュミラ皮下注射、シンポニーの皮下注射、ステラーラ初回点滴と2回目以降の皮下注射、エンタイビオ点滴による治療を難治性の患者様に積極的に行っています。

④JAK(ジャック)阻害薬

活動期の症状改善と寛解を維持するために使われます。
剤形:経口剤
(ゼルヤンツ)

当クリニックでは、経口剤ゼルヤンツの処方を行っています。

血球成分除去療法(GCAPとよばれます)

血液を一時的に体外に連続的に取り出し、白血球の中で特に炎症に関与している顆粒球などを選択的に除去するカラム(アダカラム)とよばれる医療機器に通し、その後血液を体内に戻す治療法です。 活動期の症状を改善するための寛解導入療法に行われます。
なお寛解維持療法として行うことはできません。

外科治療(手術療法)

以下のような状態の場合は、外科治療(手術)の適応を検討します。

①絶対的手術適応:緊急手術が必要となります。

  • 大腸穿孔や、大腸からの大量出血を認める場合。
  • 重症、劇症で強力な内科的治療を行っても改善しない場合。
  • 大腸がんを合併した場合。
  • 中毒性巨大結腸症を合併した場合。

②相対的手術適応:タイミングを見て手術療法を検討します。

  • 頻回に入退院を繰り返して日常生活を送ることが困難な場合。
  • 薬の副作用のため内科的治療が続けられない場合。
  • 皮膚などの腸以外の重い合併症が内科的治療でよくならない場合。

潰瘍性大腸炎の手術は、肛門機能を温存し、炎症が起きている大腸を全て取り、小腸で便を溜めておく袋(パウチ)を作る術式が一般的です。これにより肛門からの自然な排便が可能となります。多くの患者さんで永久人工肛門を造ることを避けることができます。
手術は、開腹手術 (お腹を縦に切って開ける方法)でしたが、最近では、手術創がが小さく、術後の回復が早い腹腔鏡手術で行う場合もあります。

潰瘍性大腸炎の医療費は?

潰瘍性大腸炎は「難病の患者に対する医療等の法律」において指定難病に定められています。申請手続きを行い認定されると、通院や入院の医療費に対して公費による助成が受けられます。なお、認定基準につきましては、住まれている都道府県の窓口(保健福祉担当課や保健所等)で確認して下さい。
患者さんが加入している医療保険上の世帯の収入に応じて、医療費の自己負担限度額が設定されています。下表に示します。

*1 高額かつ長期とは:
月ごとの医療費総額が50,000円を超える月が年間6回以上ある方です(例えば医療保険の2割負担の場合、医療費の自己負担が10,000円を超える月が年間6回以上)。

*2 人工呼吸器等装着者とは:
人工呼吸器又は体外式補助人工心臓を装着している方で、厚生労働省が定めた基準を満たす患者さんです。

※注
  • 指定難病の医療費助成の対象となるのは、原則として「指定難病」と診断され、「重症度分類等」に照らして病状の程度が一定程度以上の場合です。
  • 症状の程度が疾病ごとの重症度分類等に該当しない軽症者でも、高額な医療を継続することが必要な人(例えば生物学的製剤使用)は、医療費助成の対象となります。(軽症高額該当)
  • 指定難病の医療費の給付を受けることができるのは、原則として指定医療機関(都道府県・指定都市から指定を受けた病院・診療所、薬局、訪問看護ステーション)で行われた医療に限られます。
  • 当クリニックは、難病および小児慢性特定疾病の指定医療機関です。
医療費助成

なお、医療費助成制度に関する詳細につきましては、難病情報センターの「指定難病患者への医療費助成制度のご案内」をご確認ください。

日常生活についての注意点は?

①食事については?

寛解期ではあまり厳格にする必要はありません。バランスの良い食事を心がけましょう。

②日常生活で気をつけることは?

食事と同様、あまり気にし過ぎないようにしましょう。寛解期に起きては基本的なことを守り、普段通りの生活をしましょう。

  • 睡眠不足や過労に注意し、規則正しい生活を心がけましょう。
  • お薬はきちんと飲みましょう。(最低でも1週間に6日以上飲みましょう。)
  • 定期的に通院を守りましょう。
  • ストレスは病状が再燃のきっかけになることがあります。心配事が起きた時は一人で抱え込まないようにしましょう。受診の時に、主治医や看護師などのメディカルスタッフにご相談ください。

妊娠・出産については?

  • 特に症状が落ち着いている寛解期であれば、一般の方と同じように妊娠・出産が可能です。
  • 薬については、病気の状態に応じて効果と副作用を考えたうえで、種類や量を変更する場合があります。生物学的製剤の投与では妊娠後期に出産まで一時中止する場合もあります。
  • 再燃・増悪しないように妊娠中も適切な治療を続けることがもっとも大切です。妊娠を希望される方は事前に主治医に相談しましょう。

クローン病

クローン病とは?

クローン病とは、 小腸や大腸などの粘膜に慢性的な炎症を引き起こす病気です。口から肛門まで飛び飛びに炎症が起こることが特徴です。これをスキップ病変と言います。
指定難病の1つで、発症頻度は10万人に27人程度とされていますが、年々増加傾向にあります。
クローン病では潰瘍性大腸炎よりも若年者に好発することが特徴で、日本においては男性の方が女性より2倍程度発症しやすいというデータがあります。

クローン病
対象
医療受給者証交付者(新規+更新)の個人票電子化
データ26,507件中、発病年齢の記載がある、あるいは発病年の記載があり計算が可能なもの24,389例
(難治性炎症性腸管障害に関する調査研究(鈴木班) 一目でわかるIBD 第二版)

クローン病の特徴は?

  • 口から肛門まで消化管のどの部位にでも炎症が起こりえます。
  • 消化管にとびとびに炎症が起こります。
  • 腸管壁の深層(深いところまで、時々全層にわたって)まで炎症が起きます。

病気の原因は?

腸管の難病であり、クローン病の原因は現在のところはっきりとは解明されていません。
クローン病は1つの原因によって引き起こされるのではなく、遺伝、食生活、免疫異常などさまざまな要因が重なり合って発症すると考えられています。

クローン病の症状は?

重症度や病変部位により、症状はさまざまです。おもな症状は、腹痛、下痢、発熱、血便、体重減少、貧血などです。
痔ろうや肛門周囲膿瘍(肛門周辺に膿が溜まる)など、肛門周辺の病変も多くみられます。

臨床経過をどうですか?

クローン病患者さんの多くは、潰瘍性大腸炎と同様に活動期と寛解期を繰り返します。
活動期と寛解期を繰り返すと、手術が必要となる腸管病変(狭窄[きょうさく:腸管が狭くなる ]、瘻孔[ろうこう:腸管と腸管または皮膚や他の臓器に孔が生じてつながる]など)ができるリスクが増加してきます。
適切な治療を続けて長く寛解期を維持することが重要です。

臨床経過

クローン病の検査は?

①血液検査
全身の炎症の程度、栄養状態、貧血などを知るために行います。また、治療方法の選択や、治療効果の判定にも用いられます。
②内視鏡検査
大腸や小腸の粘膜病変を直接確認するために行います。また、治療法の選択や、治療効果の判定にも用いられます。
  • 大腸内視鏡検査
    大腸および回腸末端部の病変を確認するための検査です。肛門より内視鏡を挿入して観察します。
  • 小腸内視鏡検査
    ダブルバルーン内視鏡やカプセル小腸内視鏡を使って小腸の病変を確認するための検査です。ダブルバルーン内視鏡は肛門または口より挿入し、カプセル内視鏡は口から飲み込み、小腸内を観察します。
  • 上部消化管内視鏡検査
    食道の打ち抜き様の潰瘍、胃の竹の節状外観、多発性胃びらん、十二指腸のノッチ様陥凹などの有無を調べます。
  • 消化管X線検査
    病変範囲や分布、炎症の状態(縦走潰瘍、敷石像、狭窄、瘻孔など)を確認するために行います。また、治療方法の選択や、治療効果の判定にも用いられます。
    • a.注腸X線検査
      大腸の病変部位、炎症の状態(潰瘍、びらん、敷石像など)、狭窄、瘻孔の有無などを確認するための検査です。バリウムと空気を肛門より注入してX線撮影を行います。
    • b.小腸造影検査
      小腸の病変部位、狭窄、瘻孔の有無などを確認するための検査です。口または鼻より十二指腸までチューブを挿入し、バリウムと空気を注入してX線撮影を行います。
      そのほかCT検査、MRI検査、エコー検査、細菌学的検査(感染症のチェック)などが行われます。

どんな合併症がありますか?

腸管合併症と腸管外合併症の2種類の合併症があります。

①腸管合併症

狭窄や瘻孔などがあります。

②腸管外合併症

潰瘍性大腸炎と同じく、関節、皮膚、眼病変を認めることがあります。そのほかにも胆石、腎結石、膵炎、深部静脈血栓症などがみられる場合もあります。

管外合併症

がん化については?

一般の方と比べて大腸がん・小腸がんの発症リスクが高いと言われています。大腸がん発生率はクローン病にかかっている年月が長くなるにつれて増えるとされています。最近クローン病のがん化が学会で注目されるようになってきました。
クローン病の患者さんにはがんの早期発見を目的とした定期的な検査をお勧めします。内視鏡検査が主な検査ですが、そのほか造影剤による消化管X線検査、腹部CT検査、肛門病院のある患者さんでは肛門科専門医による肛門診察など行います。

がん化について

クローン病の検査は?

①血液検査

全身の炎症の程度、栄養状態、貧血などを知るために行います。また、治療方法の選択や、治療効果の判定にも用いられます。

②内視鏡検査

大腸や小腸の粘膜病変を直接確認するために行います。また、治療法の選択や、治療効果の判定にも用いられます。

  1. 大腸内視鏡検査
    大腸および回腸末端部の病変を確認するための検査です。肛門より内視鏡を挿入して観察します。
  2. 小腸内視鏡検査
    ダブルバルーン内視鏡やカプセル小腸内視鏡を使って小腸の病変を確認するための検査です。ダブルバルーン内視鏡は肛門または口より挿入し、カプセル内視鏡は口から飲み込み、小腸内を観察します。
  3. 上部消化管内視鏡検査
    食道の打ち抜き様の潰瘍、胃の竹の節状外観、多発性胃びらん、十二指腸のノッチ様陥凹などの有無を調べます。
  4. 消化管X線検査
    病変範囲や分布、炎症の状態(縦走潰瘍、敷石像、狭窄、瘻孔など)を確認するために行います。また、治療方法の選択や、治療効果の判定にも用いられます。
    a.注腸X線検査
    大腸の病変部位、炎症の状態(潰瘍、びらん、敷石像など)、狭窄、瘻孔の有無などを確認するための検査です。バリウムと空気を肛門より注入してX線撮影を行います。
    b.小腸造影検査
    小腸の病変部位、狭窄、瘻孔の有無などを確認するための検査です。口または鼻より十二指腸までチューブを挿入し、バリウムと空気を注入してX線撮影を行います。
  5. そのほかCT検査、MRI検査、エコー検査、細菌学的検査(感染症のチェック)などが行われます。
  • 消化管X線検査1
  • 消化管X線検査2
  • 消化管X線検査3
  • 消化管X線検査4
  • 消化管X線検査5

検査で何が分かりますか?

クローン病の確定診断ができたり、ほかの病気を否定したり、病変の範囲や重症度が分かります。患者さんの病態を把握することが、適切な治療を決めるのにとても重要です。。

病変の範囲による病型分類は?

病変の範囲により、小腸型、小腸大腸型、大腸型の3つに分類されます。

病型分類

(難治性炎症性腸管障害に関する調査研究(鈴木班) 一目でわかるIBD 第二版) 

※重症度による分類

重症度

※1 CDAI : Crohn's disease activity index (クローン病活動度指数)
※2 CRP:C反応性タンパク(炎症の程度を示す指標)
潰瘍性大腸炎•クローン病 診断基準•治療指針(厚生労働省「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」鈴木班)

日常診療では簡便なIOIBDで活動性を評価する機会が多いです。

IOIBD

クローン病の治療法は?

クローン病の治療には寛解導入療法と寛解維持療法の2つがあります。
寛解導入療法は活動期に臨床症状や炎症を抑える治療法です。主に栄養療法や薬物療法、血球成分除去療法を行います。これまでは臨床的寛解が目標でしたが、最近では内視鏡的に活動期の炎症が軽快している状態、すなわち内視鏡的寛解(粘膜治癒)が治療目標となってきています。
次に落ち着いた状態をできるだけ長く持続させるために寛解維持療法が行われます。こちらは薬物療法と栄養療法が中心です。
狭窄や瘻孔などの腸管合併症に対しては外科的手術が行われます。また、肛門病変に対してはドレナージ術(膿を体外に排出する治療)が行われます。
これらは内科的治療と組み合わせて行われます。
日本におけるクローン病の内科的治療の変遷を図に示します。

クローン病の治療法

①栄養療法

活動期の症状改善と寛解を維持するために使われます。
  1. 経腸栄養療法:鼻から細いチューブを小腸まで挿入し、エレンタールと呼ばれる成分栄養剤をポンプで夜間持続注入する方法です。
    当クリニックではエレンタール処方、半消化態栄養剤ラコール・エンシュアリキッドの処方を行っています。
  2. 完全静脈栄養療法:細いカテーテルを鎖骨下静脈や内頸静脈から心臓のすぐ近くの太い静脈である上大静脈の付け根に留置して、高カロリー輸液をポンプを使って24時間または夜間12時間かけて投与する方法です。CVポートを造って、ポートを穿刺して投与することが多くなっています。

②薬物療法

クローン病の治療に使われる薬剤は、下記のような種類があります。

  1. 5 アミノサリチル酸(5 ASA)製剤
    活動期の症状改善と寛解を維持するために使われます。
    剤形:経口剤、注腸剤、坐剤
    (ペンタサ、大腸型に対してはペンタサのほかにサラゾピリンも使用可能)
    当クリニックでこれらの薬剤の処方を行っています。
  2. 副腎皮質ホルモン剤(ステロイド)
    活動期の症状を改善するために使われます。
    剤形:経口剤、注射剤
    (プレドニン、ゼンタコート)
    当クリニックでは、経口剤・注射剤プレドニン、経口剤ゼンタコートの処方を行っています。
  3. 免疫調節薬
    活動期の症状改善と寛解を維持するために使われます。
    剤形:経口剤
    (イムラン、アザニン)
    当クリニックでは、経口剤イムランの処方を行っています。
  4. 生物学的製剤
    活動期の症状改善と寛解を維持するために使われます。
    最近では、予後不良因子とされる、
    ・直腸病変
    ・広範囲な小腸病変
    ・重篤な上部消化管の病変
    ・難治性肛門病変
    ・早期の狭窄/穿孔性病変
    ・深い潰瘍
    をみとめる場合は、早期に生物学的製剤を導入する機会が多くなっています。
    剤形:注射剤(点滴投与または自己注射)
    (レミケード、ヒュミラ、ステラーラ、エンタイビオ、インフリキシマブBS)
    当クリニックでは、レミケード・インフリキシマブBSの点滴、ヒュミラ皮下注射、シンポニーの皮下注射、ステラーラ初回点滴と2回目以降の皮下注射、エンタイビオ点滴による治療を難治性の患者様に積極的に行っています。
  5. 抗菌薬
    活動期の症状を改善するために使われます。特に直腸肛門病変に対して使用されます。
    剤形:経口剤
    (シプロキサン、メトロニダゾール)
    当クリニックでは、これらの抗菌薬の処方を行っています。

③血球成分除去療法(GCAP)

血液を一時的に、体外に取り出し、白血球の中の特に炎症に関与している顆粒球などを選択的に除去するカラムとよばれる医療機器に通し、その後血液を体内に戻す治療法です。活動期の症状を改善するために寛解導入療法として行われます。

④外科治療(手術療法)

以下のような状態には外科治療(手術)の適応を検討します。

  1. 絶対的手術適応:緊急手術が必要となります。
    ・大腸穿孔や大量出血をみとめる場合。
    ・腸閉塞になった場合
    ・膿瘍(のうよう:お腹の中やお腹の壁に膿がたまる)がある場合
    ・大腸がん、痔ろうがん、小腸がんを合併した場合
    ・中毒性巨大結腸症を合併した場合
  2. 相対的手術適応:時期を見て手術を検討します
    ・狭窄や瘻孔がある場合。
    ・皮膚などの腸以外の難治性の合併症が内科的治療でよくならない。
    ・内科的治療でも十分な効果がない場合。
    ・治りにくい難治の痔ろうや肛門病変がある場合。

クローン病の医療費は?

クローン病は「難病の患者に対する医療等の法律」において指定難病に定められています。申請手続きを行い認定されると、通院や入院の医療費に対して公費による助成が受けられます。なお、認定基準につきましては、住まれている都道府県の窓口(保健福祉担当課や保健所等)で確認して下さい。
患者さんが加入している医療保険上の世帯の収入に応じて、医療費の自己負担限度額が設定されています。下表に示します。

*1 高額かつ長期とは:
月ごとの医療費総額が50,000円を超える月が年間6回以上ある方です(例えば医療保険の2割負担の場合、医療費の自己負担が10,000円を超える月が年間6回以上)。

*2 人工呼吸器等装着者とは:
人工呼吸器又は体外式補助人工心臓を装着している方で、厚生労働省が定めた基準を満たす患者さんです。

※注
  • 指定難病の医療費助成の対象となるのは、原則として「指定難病」と診断され、「重症度分類等」に照らして病状の程度が一定程度以上の場合です。
  • 症状の程度が疾病ごとの重症度分類等に該当しない軽症者でも、高額な医療を継続することが必要な人(例えば生物学的製剤使用)は、医療費助成の対象となります。(軽症高額該当)
  • 指定難病の医療費の給付を受けることができるのは、原則として指定医療機関(都道府県・指定都市から指定を受けた病院・診療所、薬局、訪問看護ステーション)で行われた医療に限られます。
  • 当クリニックは、難病および小児慢性特定疾病の指定医療機関です。
医療費助成下

日常生活についての注意点は?

①食事については?

クローン病の場合は、低脂肪・低残渣(低線維)食が推奨されています。
ただし、食べても問題ない食材や量は個人差があります。自分の体調とみながら、食事内容や量を調整して食事を楽しみましょう。以前のような厳格な食事療法はしなくても良くなってきています。

②日常生活で気をつけることは?

クローン病患者さんの多くは、通常の日常生活、学校生活、社会生活をしています。
症状が悪い時には、食事や社会生活を制限することが必要ですが、症状が落ち着いていれば、就労・就学はもちろん、過労とならない程度の運動も可能です。
症状が落ち着いている寛解期には以下の基本的なことを守り、普段通りの生活を行いましょう。

  • 睡眠不足や過労に注意し、規則正しい生活を心がけましょう。
  • バランスの良い食事をとりましょう。
  • 薬はきちんと服用しましょう。
  • 定期的に通院しましょう。勝手に中断しないようにしましょう。
  • 禁煙しましょう。
    特に、ストレスは再燃のきっかけになることがあります。ストレスが溜まっているときは主治医や看護師などのメディカルスタッフにご相談ください。

妊娠・出産については?

  • 特に症状が落ち着いている寛解期であれば、一般の方と同じように妊娠・出産が可能です。
  • 薬については、病気の状態に応じて効果と副作用を考えたうえで、種類や量を変更する場合があります。生物学的製剤の投与では妊娠後期に出産まで一時中止する場合もあります。
  • 再燃・増悪しないように妊娠中も適切な治療を続けることがもっとも大切です。妊娠を希望される方は事前に主治医に相談しましょう。

院内紹介

院長
野﨑 良一
診療科目
内科、消化器内科、胃腸内科、内視鏡内科、肛門内科
電話
096-285-3373※電話予約は17:30までとなります。
FAX番号
096-286-1533
所在地
〒861-2236
熊本県上益城郡益城町広崎1572-1
アクセス
益城熊本空港インターから車で3分
益城IC口 バス停から徒歩5分

受付時間

日祝
8:30~11:30 〇 / ▲
14:00~17:00 〇 / ▲

▲:水曜日は検査のみ(午後休診)
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      第2・4 休診
      第5 午前中診療(8:30~12:00)
休診日:水曜日午後、第2・4 金曜日、第5 金曜日午後、日曜、祝日

TEL 096-285-3373 WEB予約
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